-網膜色素変性症による失明者に「人工視力」治療-


網膜色素変性症による失明者に「人工視力」治療

網膜色素変性症

網膜色素変性症とは、網膜の視細胞が徐々に失われていく進行性の病気です。原因は遺伝子の異常とされていますが、根本的な治療法はありません。国内の患者数は3万55万人とされ、失明原因の約2割を占めています。


スポンサードリンク


人工視覚

大阪大大学院医学系研究科(大阪府吹田市)の不二門尚(ふじかどたかし)教授(感覚機能形成学)、神田寛行助教らの研究グループは、網膜の異常で失明した「網膜色素変性症」の患者の網膜を、微弱電流で刺激し、視力を回復させることに成功しました。

6人中5人で効果が確認され、目の代わりとなる小型カメラでとらえた光の動きを追うことができた人もいました。国内で「人工視覚」の成功例は初めてです。不二門教授は「数年以内に、つえなしで歩けるようにしたい」と話しています。

目の構造をカメラに例えると、角膜、水晶体がレンズ、網膜がフィルムにあたります。健康な人が見た映像は、電気信号に変換され、網膜、視神経を経て脳の視覚野に送られ、「見える」ようになります。しかし、網膜色素変性症になった人は、網膜の視細胞が徐々に消失するため、信号が視覚野へ届かなくなって光を失っていきます。

不二門教授らは、患者の網膜の外側の強膜の中に、刺激電極のチップ(7ミリ・メートル四方)装着さ、チップから微弱電流を流し、眼球内に埋め込んだ帰還電極にあて、返ってきた電流で網膜内にわずかに残った神経細胞を刺激する方法を考えました。

人工視覚の臨床試験

2005年秋と08年春には、計4人の患者さんにチップを装着しました。手術中のわずかな時間に光の刺激を与えたところ、3人が光の方向を判別できました。

2010年4~7月には、失明して10年以上になる女性2人に、1か月間チップを装着しCCDカメラを、おでこに、つけてもらいました。カメラで取り込んだ画像情報は、体外の装置で電気信号に変換され、体内装置を経て、強膜内のチップに送られました。

千葉県の女性(67)はパソコンの黒い画面上に不規則に現れる白色の棒をカメラで見て、位置を指さすことができました。女性は「闇の世界でしたが、白い光がはっきり見え、棒の位置を追えました。光が見えるというのは素晴らしい」と話しています。

人工視覚の研究で先行する米国とドイツは、網膜を直接刺激する方法を採用しています。米・南カルフォルニア大の研究では、17人が平均14か月電極を装着し、中にはアルファベットの文字が読めるまでに回復した人もいるといいます。しかし、網膜を傷つける危険性もあるため、強膜に電極チップを置く大阪大の手法のほうが、安全性は高いです。

不二門教授は「色の識別は無理ですが、白黒が分かれば、指の数が分かる視力くらいまで回復します。生活の質は上がります」と話しています。

関係医療機関

大阪大大学院医学系研究科・医学部


スポンサードリンク


関連ページ

疲れ目(眼精疲労)

加齢黄班変性症の光線力学的療法

有水晶体眼内レンズ(フェイキックIOL)挿入術

目瞼下垂(がんけんかすい)の腱膜固定術(けんまくこていじゅつ)

顕微鏡を使った新しい硝子体手術

「眼瞼(がんけん)けいれん」のボトックス注射治療

自己血成分(フィブロネクチン)点眼による角膜治療


スポンサードリンク


サプリメント通販購入・選び方アドバイザー

スポンサードリンク



サプリメント通販購入・選び方アドバイザー/健康

↑ ページトップ