-顕微鏡を使った新しい硝子体手術-


顕微鏡を使った新しい硝子体手術

硝子体手術

硝子体とは、眼球の内側にあるゼリー状の物質で、眼球の形を保ちます。網膜は、カメラで言えばフィルムの役割をする部位です。

硝子体手術は、糖尿病の合併症の一つである糖尿病網膜症や、原因は不明だが網膜に穴があく網膜剥離(もうまくはくり)、ものを見るのに最も重要な黄斑部(おうはんぶ)の疾患など、失明に至る恐れのある病気の治療の切り札として行われていて、精密で高度な技術が求められる手術です。

糖尿病網膜症は、網膜に余分な血管ができたり、薄い膜が張ったりして傷み、進行すれば失明に至ります。年間3000人以上が視力を失い、失明原因では最も多い。

早期ならレーザーで血管などを焼く治療も行えますが、血管から出血した場合や膜が増殖した場合には、手術が必要になります。眼内に差し入れた器具で濁った硝子体を吸引して人工の眼内液に入れ替え、増殖した膜を取り除きます。この手術をすることで完全に視力を取り戻せるわけではありませんが、進行を抑え失明を防ぐのが狙いです。

網膜剥離も、従来は剥離の程度がひどい場合や部位によっては修復が困難でしたが、目の内部から網膜を整える硝子体手術によって治療が可能になりました。


スポンサードリンク


硝子体の新しい手術「顕微鏡システム」

藤田保健衛生大病院(愛知県豊明市)眼科教授の堀口さんは、この手術法を改良し、新しい手術顕微鏡システムを2002年に開発しました。

従来の手術用顕微鏡は、針状の照明器具を眼内に差し込んで一方の手で操り、もう片方の手で手術器具を扱います。眼内を照らす範囲が限られるうえ、組織をはがしたりするのに一方の手しか使えない制約がありました。そこで、照明器具を眼球に差し入れるのではなく、眼球の外から当てた光で硝子体全体を照らし出す顕微鏡装置を考案し、実用化しました。

光の当て方やレンズを工夫し、目の奥深くまで光が届くようにしました。硝子体内の全体が明るく見えるうえ、器具を両手で扱えるため、操作性や安全性が格段に向上しました。

糖尿病網膜症の治療では、一方の手で膜の端を持ち上げ、他方の手でカッターを使い切除するなど、これまではできなかった操作が可能になりました。「従来なら手術を断念していた重症例にも、治療の可能性が広がった」と堀口さんは話します。

硝子体手術では、濁った硝子体を取り除く際、引っ張られた網膜に、小さな穴があく合併症がしばしば起きました。手術中に発見してレーザーでふさぐ処置ができれば問題はありませんが、見落とされると穴は広がってしまい、新たな網膜剥離を起こす事態につながります。堀口さんは「硝子体内部を広く明るく照らし出す新システムでは、見落としによるミスを防ぐ効用も大きい」と話しています。

硝子体手術と自内障手術

私たちに最も身近な目の手術と言えば、白内障の手術です。白内障は主に加齢によって水晶体が白く濁ってしまう病気で、手術では濁った水晶体を超音波で砕いて吸引し、代わりに人工の眼内レンズを挿入します。

眼内レンズは直径5-6ミリで、小さな傷口で済むよう折り曲げて挿入できる柔らかい素材のタイプが普及しています。数日の入院か、日帰りでの手術も可能です。全国で年間80万件行われている。比較的安全確立された手術と言えます。

実は硝子体手術の大きな欠点のひとつが、手術の刺激によって、術後数か月から数年後に白内障が起きてしまうことです。このため高齢者では、硝子体手術を行う際、予防的に眼内レンズの手術も行われることが多いです。

関係医療機関

藤田保健衛生大病院(愛知県豊明市)


スポンサードリンク


関連ページ

疲れ目(眼精疲労)

加齢黄班変性症の光線力学的療法

有水晶体眼内レンズ(フェイキックIOL)挿入術

目瞼下垂(がんけんかすい)の腱膜固定術(けんまくこていじゅつ)

「眼瞼(がんけん)けいれん」のボトックス注射治療

自己血成分(フィブロネクチン)点眼による角膜治療

網膜色素変性症による失明者に「人工視力」治療


スポンサードリンク


サプリメント通販購入・選び方アドバイザー

スポンサードリンク



サプリメント通販購入・選び方アドバイザー/健康

↑ ページトップ