-自己の歯を再利用するティースバンク(歯の銀行)-


自己の歯を再利用するティースバンク(歯の銀行)

ティースバンク(歯の銀行)とは

歯周病や虫歯で歯を失う人は多いいです。そんな時に備え、矯正治療で抜いた親知らずなどの歯を冷凍保存しておくのが、ティースバンクです。広島大病院矯正歯科教授の丹根一夫さんと講師の河田俊嗣(としつぐ)さんらが2004年に設立した企業「スリーブラケッツ」が運営する、世界初の「歯の銀行」です。

保存するのは、原則として小臼歯(しょうきゅうし)と親知らずで、多いのは親知らずです。上下に4本ある親知らずは、生えるのが20歳前後と遅く、生えた時に歯並びが悪くなると、虫歯や歯周病の原因にもなるため、抜歯することが多いからです。

抜いた歯を、別の歯が抜けた部分に移植する治療は「自家歯牙(しが)移植」と言い、既に一部が保険で認められています。ただし、移植した歯が生着するために、通常は抜歯後1時間以内に移植を行います。歯の根っこの周りにある組織「歯根膜」が乾燥などに弱く、短時間で死ぬためです。

河田さんは、歯根膜が付着した状態で、長期に歯を凍結保存する方法を研究しました。試行錯誤を重ね、着目したのが、磁場をかけながら冷凍する技術です。食品の鮮度を保つのに使われている方法で、「歯根膜の細胞は解凍後、80%以上が生存している」と話しています。

バンクは、この技術を使い、歯根膜付きの歯を広島大病院の冷凍庫でマイナス150度で保存します。


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保存した歯の移植手術

移植手術は、抜けた歯の歯茎に、解凍した歯を植えます。ナイロンの糸で固定し、3週間ほどは、移植した歯に衝撃が加わらないよう極力使わないようにします。歯の根っこ(歯根)とあごの骨の間にあったすき間を埋めるよう、あごの骨が伸びます。1年もすると、歯があごに固定され、歯ごたえを感じながらかむことができます。

保存した親知らずは、形を整えて小臼歯や奥歯に代用できます。小臼歯も、下の前歯以外の歯に利用できるといいます。ただし、感染防止のため本人以外には移植できません。

保存できる歯は1人8本までで、最長40年間、保存できます。バンクには、すでに約600人(約1300本)の歯が保存されています。糖尿病や肝臓病などの持病があると、骨の形成などの問題から、移植できない場合もあります。

歯の移植は、過去2年間に約20件行われました。移植後10年たたないと成功とは言えませんが、河田さんは「歯が抜けるなど不具合は生じていない」と話し、経過は良好といいます。

バンクの利用者の7割は女性です。広島大病院のほか、スリーブラケッツ社の研修に参加した全国29の協力歯科医院でも受け付けています。

その一つ、内田歯科・矯正歯科クリニック(東京・練馬区)は約10人の歯をバンクに送っています。副院長の内田禎子さんは「矯正で歯を抜いたお子さんの将来を考えてバンクに預けた親もいます」と話しています。

凍結保存の場合は保険がきかず、費用は抜歯、移植、輸送費などを含め、1本当たり20万~28万円程度かかります。

関係医療機関

広島大病院矯正歯科

内田歯科・矯正歯科クリニック


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