円形脱毛症
円形脱毛症は、病名のとおり、コインのように円形の脱毛が起きる病気です。脱毛の広さは、1センチ程度の小さなものから数センチに及ぶものまでさまざまです。1ヵ所だけでなく多発することもありますし、髪の毛だけでなく、まゆ毛やわき毛など全身の毛が抜けてしまうこともあります。
年代としては、子供から大人までどの年齢層でも見られますが、20歳代がもっとも多くなっています。女性だけの病気ではありませんが、患者数は女性のほうが約1.5倍多いといわれ、女性をたいへん悩ませる髪のトラブルの一つです。
次のようなタイプに人別されます。
- 通常型(単発型、多発型)
- 不整局面型(頭髪の生え際が帯状に脱毛。難治例が多い)
- 全頭型(ほとんどの頭髪が抜ける)
- 汎発型(頭髪とともに全身の毛が抜ける)
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円形脱毛症の原因
円形脱毛症と聞くと「ストレスの病気」と思われることが多いようですが、円形脱毛症とストレスの因果関係を示す医学的なデータは、いまのところありません。しかし、カウンセラーなどからは、幼少のころから思春期、大人に至るまで、ストレスの多い状況になると円形脱毛症を繰り返してきた女性の事例が報告されています。
また、患者さんには、性格的に几帳面でまじめな人が多く見られることなどからも、ストレスは、円形脱毛症の見過ごせない誘因の一つであるといえるでしょう。
最近では、「自己免疫疾患」の一種という見方が有力です。人間の体には、細菌やウイルスなど外敵の侵入から自身を守る「免疫」機構があり、おもにリンパ球がその働きを担っています。円形脱毛症の人の脱毛した部分の頭皮を観察すると、毛根にリンパ球が集まり、毛根が萎縮しています。何らかの理由でリンパ球が、自分の体の一部である毛根を、「外敵」「異物」と間違えて攻撃して、髪の毛の成長が止められているようなのです。
円形脱毛症の治療法
円形脱毛症は、小さな1ヵ所の脱毛から、髪の毛がほとんど抜けたり、全身の毛が抜けるなど、症状はさまざまです。また、どういった症状に、どのような治療法が有効かについても、いろいろなケースが見られます。
以下は、一般的に比較的よく用いられている薬剤、治療法です。
- 塩化カルプ□ニウム(フロジン液)
塗り薬・末梢血管の拡張作用。育毛剤「カロヤンガツシュ」(商品名)などの主成分。 - グリチルリチン
飲み薬。抗炎症・抗アレルギー作用。漢方薬として用いられるカンゾウから抽出した薬効成分。 - ステロイド
塗り薬、あるいは飲み薬。注射する場合もある。人間の副腎皮質という部位で作られる副腎性の糖質コルチコイドホルモン。毛根の炎症を抑える。 - セファランチン
塗り薬(セファランチンアルコール)、あるいは飲み薬。タマサキツヅラフジという植物から抽出したアルカロイド成分。 - ミノキシジル
塗り薬、あるいは飲み薬。発毛促進作用 - ドライアイス圧抵療法
雪状のドライアイスを固めたもので患部に刺激を与える - 液体窒素療法
液体窒素を含ませた綿球で患部に刺激を与える。 - 紫外線療沫
長波長の紫外線A波(UVA)を患部に照射して、リンパ球の異常な働きを抑える - 局所免疫療法
薬を使って局所に人為的に皮膚炎(かぶれ)を起こし、その状態を維持しながら発毛を促進させる。 - 免疫抑制剤
塗り薬、あるいは飲み薬。アトピー性皮膚炎の治療で好成績をあげ、円形脱毛症の治療効果も期待されている。 - 低出カレーザー
脱毛部、あるいは頸部の神経節にレーザーを照射して、頭皮の血流をよくする。
円形脱毛を見つけたら早めに皮膚科へ
頭部に円形の脱毛を見つけたときには、早めに皮膚科医などに相談するようにしてください。治療を始めるのが早いほど、症状を効果的に抑えることが期待できます。日常生活では、睡眠をなるべくよく取り、バランスのいい食事に努め、心身のストレス緩和の工夫を心がけましょう。
円形脱毛症の場合はとくに、どんな治療法が効果的かは、人によってさまざまです。また、治療にかなり時間がかかることもあります。医師とよく相談しながら、根気よく治療に取り組んでください。
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