-体の形を整える脂肪吸引手術のリスク-


体の形を整える脂肪吸引手術のリスク

体への負担が大きい脂肪吸引手術

脂肪吸引は、おなかや太ももなどの皮下脂肪を取りたい場合に行います。まず、止血剤と生理食塩水が入った液体を吸引する部分に注射などで注入して脂肪を膨らませます。その後、皮膚を5ミリほど切って、直径2~3ミリの管を挿入します。管の先端にある穴の縁は刃物のような構造になっており、前後に動かすと、脂肪組織が切断されます。切断された組織は管の穴から吸引されます。脂肪を破壊する作用がある超音波を外から当てて、挿入した管で吸引する方法もあります。

表面の傷口は小さく、皮膚の傷跡はほとんど残りませんが、内部には広範囲に傷ができるので、体への負担は大きいです。米国では、1994~98年に実施された約50万件の脂肪吸引手術のうち、0・019%の95人が死亡したという報告があります。


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脂肪吸引手術の死亡原因

死亡の原因は、吸引中に脂肪組織の中を走っている静脈が傷つくなどして、血の塊(血栓)ができ、血流にのって肺へ流れて肺動脈が詰まる「肺塞栓」や、吸引部分の脂肪が溶けて傷ついた静脈に入って血が固まり、同じように肺に到達して詰まる「脂肪塞栓」などが多いです。特に太ももの場合は、手術後に吸引部分が腫れて太ももの静脈を圧迫し、足に血栓ができて肺塞栓を起こすことがあります。

おなかの脂肪の吸引では、誤って管が腹壁を貫いて腸管を傷つけてしまい、腸から消化液や便がしみ出して腹膜炎を起こして死亡することもあります。その他、麻酔事故で亡くなることもあります。

杏林大(東京都三鷹市)形成外科教授で、脂肪吸引を含む美容外科も手がける波利井清紀さんによりますと、こうした危険を回避するには、大量の脂肪を吸引しないこと、麻酔科医がおり、手術後の管理がきちんとした施設を選ぶことが重要だといいます。

例えば、二の腕の脂肪を数百cc吸引する程度なら、外来で局所麻酔を受け、その日に帰ってもあまり問題は起きません。しかし、おなかや太ももの脂肪を2000cc程度吸引するなら、全身麻酔が必要で1日は入院することが望ましいです。

肺塞栓や脂肪塞栓は、手術後ほとんどが24時間以内に起きるからです。息苦しいなどの症状が出たら、すぐに酸素を吸入し、血栓を溶かす薬を点滴します。腹膜炎は、手術後2日以内に起きます。おなかが痛んだり、熱が出たりしたらすぐに医療機関を受診してください。消化器外科で開腹して、内部を洗浄する手術を受けます。

先の米国のデータでは、死亡した95人のうち約8割は、その日のうちに帰宅したケースでした。また、肺塞栓や脂肪塞栓は、吸引する脂肪の量が多いほど起きやすいです。

波利井さんは「安全に吸引できるのは、せいぜい2000ccが限度」と話しています。手術を受けても体重はほとんど減らないわけで、やせることが目的なら意味がありません。杏林大では、体全体は太っていないが、二の腕、太もも、おなかなどに部分的に脂肪がついた人にこの手術を行っています。

脂肪吸引は保険適用外

脂肪吸引は保険がきかない自費診療です。「手術後の管理も含めてきちんと行えば、場所や吸引量の違いもありますが、数十万~百万円のコストがかかる手術です。極端に安い美容外科クリニックでは受けない方が無難」と波利井さんは話しています。

脂肪吸引を受けるなら、やせるためではないという手術の目的と、危険をよく知り、施設選びにも十分配慮してください。

関係医療機関

杏林大形成外科


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