-頭頸部進行がんへの超選択的抗がん剤動注と放射線の併用療法-


頭頸部進行がんへの超選択的抗がん剤動注と放射線の併用療法

頭頸部進行がんの治療

顔、のどなど「頭頸部」(とうけいぷ)の進行がんの手術は、たとえがんは取り切れたとしても、会話や食事がしにくくなったり、容ぼうが大きく損なわれたり、患者の心身への影響が大きいです。代わりに、大量の抗がん剤を患部に集中的に注入するとともに、放射線を併用する治療があります。

治療では、足の付け根の動脈から入れた細い管を、がんの部位まで、エックス線で血管を透視しながら通す。がんに栄養を運んでいる細かな血管を探し出し、そこにシスプラチンという抗がん剤を注人し、がんをたたきます。


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超選択的抗がん剤動注と放射線の併用療法

しかし、この薬では腎障害、吐き気といった副作用が起きやすいです。そこで、抗がん剤の注入と同時に、鎖骨の下から太い静脈に入れた別の管から、抗がん剤を中和する薬(チオ硫酸ナトリウム)を注射します。これによって、抗がん剤はがんの部位に流れた後、全身に循環する前には中和され、副作用を最小限に抑えることができます。

この治療は、がんの部位だけを選んで抗がん剤を注入することから「超選択的動注療法」と呼ばれ、米テネシー大で1990年代初めに開発されました。

抗がん剤を静脈に注射する従来の治療は、副作用のため3-4週の間隔を空けて行う必要がありますが、この方法では毎週、しかも2倍量の抗がん剤を投与でき、高い効果が期待できます。

基本的な治療期問は7週間で、抗がん剤を週1回、計4回、並行して放射線を週4回(1回2.5グレイ)、計65グレイ照射します。

北大病院耳鼻咽喉科の本間明宏さんは1999年にこの方法を導入し、これまでに副鼻腔(びくう)、咽頭、口腔(こうくう)がんなど、最も進行した四期の患者を中心に約90人を治療しました。

通常の抗がん剤と放射線の併用療法では、3割の人が副作用のため治療を中断せざるを得ないのに比べ、9割以上の患者が治療を完了しました。7割以上の患者に、がんが消える効果がみられ、3年後の生存率は5割を超え、従来にはみられなかった効果と言えます。

本間さんは「手術できず、ほかに手立てがなかった進行がん患者さんにとって、有力な選択肢となりうる」と話します。

ただ、腎障害など全身的な副作用は少ないとはいえ、視神経などが集中する部位に大量の抗がん剤を注入することから、視力の低下や顔面などの神経まひ、副鼻腔炎などが起きやすいです。血管に管を通す際の危険性もあり、北大では専門の放射線科医の協力で治療を行っています。

最大の問題は、世界的にも10年余の経験しかなく、長期的な安全性が不明な点です。北大でも、治療後に下あごが壊死した重大な副作用の例がありました。本間さんは「治療の対象は慎重に選ぶ必要がある」と強調します。

頭頸部進行がんへの超選択的抗がん剤動注と放射線の併用療法は、大学病院などで広がりつつあるものの、抗がん剤の種類や投与方法などは施設によって異なります。十分に説明を受けて選択してください。

「頭頸部」(とうけいぷ)がん治療の現状

「頭頸部」(とうけいぷ)がんは、上あごや舌、耳下腺、のどの咽頭、喉頭など、顔から首にかけてできるがんで、年間の死亡者は約6600人です。がんの切除に伴う、機能や外見の欠損を補うため、しばしば体のほかの部分からの組織移植などにより再建も行われます。手術用顕微鏡などを使う細かい手術も必要で、難度が高いです。

「頭頸科」を掲げるのはごく一部で、大多数の医療機関では、耳鼻咽喉科が担当します。舌や口の中のがんでは歯科口腔外科、さらには形成外科が治療に当たる医療機関もあります。

機能を温存するには、切らずに治す放射線治療が威力を発揮しまうす。上咽頭、中咽頭がんは放射線治療が主流であり、舌がんでも放射線の小さな針を埋め込む小線源治療で舌を切らずにすむ場合があります。

関係医療機関

北大病院耳鼻咽喉科


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