-ピロリ菌による「萎縮性胃炎」「胃がん」などのリスク-


ピロリ菌による「萎縮性胃炎」「胃がん」などのリスク

ピロリ菌の感染者

ピロリ菌の感染者は、国内で約6000万人に達します。年配者に多く、60歳以上では約6割が感染し、10歳 では約1割にとどまっていると推定されています。背景には、上下水道の整備が進み、衛生状態が改善した ことがあります。

保菌者とキスをしたり、同じ鍋をつついたりしても成人の場合は感染しません。しかし、胃の機能が発達 していない乳幼児は、注意が必要になります。

国立国際医療研究センター国府台(こうのだい)病院の上村直実院長(消化器内科)は「げっぷで胃のピロ リ菌が口に出てくることがあります。その時に子どもに口移しで食物を与えると、感染する可能性はありま すが、うがいでほとんどが防げます」と話しています。


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ピロリ菌感染による症状

ピロリ菌は毒素を出すため、胃粘膜が炎症を起こして胃炎になります。自覚症状はありませんが、慢性胃 炎を経て2-5%が胃潰瘍に、0.2-0.5%が胃がんになるとされています。慢性胃炎から胃漬瘍など になる仕組みはよく分かっていませんが、胃壁が薄くなる「萎縮性胃炎」になると、胃がんになる危険が高 まることがわかっています。

杏林大消化器内科の高橋信一教授は「薄くなった胃壁を修復しようと、正常細胞が再生される過程で遺伝 子に傷がつき、がん化すると考えられる」と説明しています。

胃がんなどを防ぐには、早期に感染の有無を確認することが重要です。検査は、内視鏡で胃の粘膜を採取 して調べるのが一般的です。心臓病などで、血液を固まりにくくする薬を飲んでいる場合などは、呼気を調 べる呼気検査、血液検査、便検査を行うこともあります。

胃がんになる危険性は、ピロリ菌検査だけでは必ずしも正確に調べることはできません。萎縮性胃炎があ ると危険性が高まります。そのため萎縮性胃炎の有無を、血液検査(ペプシノゲン法)で確認することができ ます。

ピロリ菌検査で陽性でもペプシノゲン法が陰性であれば、胃がん発症の危険性は低いです。ピロリ菌検査 が陰性でもペプシノゲン法が陽性であれば危険性は高くなります。ピロリ菌が生息できないほど萎縮性胃炎 が進んでいると考えられるからです。

癌研有明病院顧間で、NPO法人「日本胃がん予知・診断・治療研究機構」の三木一正理事長は「胃がんの 予防には、ピロリ菌だけでなく、ペプシノゲン法を受けてほしい」と話します。ただ、無症状で菌の有無だ けを調べる人や、ペプシノゲン法には保険は適用されません。

ピロリ菌感染症認定医

日本ヘリコバクター学会は昨年、ピロリ菌の知識が豊富な医師を「ピロリ菌感染症認定医」とする制度を 設けました。認定医はホームページで公開されています。

関連医療機関

国立国際医療研究センター国府台(こうのだい)病院

杏林大消化器内科

日本ヘリコバクター学会


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